グローバルマネジメント研究所ベトナム
代表
ベトナム人は転職好き?
ベトナム人は高給を求めてすぐに転職するんですよね?よくある問い合わせです。ベトナムの製造業における一般的な離職率は3%~5%/月、8%~10%/月になると危険水域といわれます。年に単純換算すれば、4割~6割の従業員が辞めていくわけですから、確かに高い数値です。特に現場作業者は採用してすぐに仕事に向かずに辞めていく人も多いため、単純に離職率としてみることはできませんが、現に、「採用しても採用しても辞めて行き、一向に人が増えない」と嘆く経営者もいます。
現在の現場作業員の月給は3百万ドン前後(約1万2千円)、ベトナムの経済水準(2011年の名目一人当たりGDPが約11万円)からすれば、まあ妥当な額とは言えますが、地価の高騰による家賃負担や一般物価はそこまで安くないことを考慮すると、日本の現場作業員に比べれば苦しい台所事情であることは否めません。従って、20万ドン程度(800円)でも高給を提示する企業があれば、魚の群れのように移動を繰り返すベトナム人も多いです。
ベトナム人材の転職事情に備えて。。。
管理者層は給与のみならず、居心地を気にします
村社会のベトナムでは、新参者への対応は冷たいものです。なりふり構えない作業者層は別と しても、特に管理層は居心地がよければ多少の給与差には影響されません。従って、管理層は転職にあたっても知人・友人をたどって、できるだけ転職時に既存 従業員との軋轢を避ける方法を取ります。気軽に上司や同僚と話せる職場や、上級管理者の縄張り争いのない会社、自分の貢献が認められる会社には愛着もわき ますし、定着率も高くなります。日本人管理者は一層気を配って、社内の風通しを良くし、家族的な雰囲気を社内でもり立てていくのが効果的です。朝は正門に 立って、出社する従業員と挨拶を交わす経営者、従業員の冠婚葬祭には必ず顔を出す日本人管理者、そうした日本人のいる会社の離職率は得てして低くなります。
新しい人、優秀な人から辞めだしたら要注意
ベトナム社会では役職は”買う”ものです。従って、投資を回収するために副収入を得よう とします。自身の立場を危うくしないためと仲間を得るために縄張りを張ります。新入社員を迎えるということはともすれば、その縄張りに知らない人が入って 来ることも意味し、仲間としての契りを交わすための踏み絵を踏まされることもあります。単に経験不足の管理者が能率の劣る新入社員を辞めさせていたという ケースもありますが、新人から辞めていく状況が見られたら要注意です。社内に縄張りが張られている可能性があります。多くのケースでは、縄張りの親分は日 本人からの評価が高い日本語ができる気の効く人材だったり、通訳社員だったりします。この子を片腕に。。。とはやる気持ちはわかりますが、慎重に人材を見 極め、できるだけ公平に管理層には接し、権限や機会を与えるようにしましょう。採用時に金銭の受け渡しの可能性もあります。現場作業者も含め、できるだけ 採用面接には目を光らせるようにしましょう。
機会は平等に、結果は冷徹に
ベトナムで人材育成に携わっていると、伸びる子と伸びないこの差が激しいことに気がつきま す。発展途上ゆえ、無垢な子が多いのですが、知識の吸収力や実践適用への意欲には随分な差があります。人と差がつくことをいやがるベトナム人も多いです が、日本的な結果の平等的な評価をしていると、能力のある子は機会を求めて去っていきます。可能性のある子には場と機会を積極的に与えて、給与や昇進も含 めて差をつけていく必要があります。ただし、評価は可能な限り客観的にしましょう。「あの子は気が利く」といった日本人受けのする子は必ずしも伸びる子で はありません。会社からの期待を明文化、数値化して言い逃れのできない客観的な事実をもとに評価を行いましょう。(ベトナム人の言い訳と言い逃れには日本 人はかないません)