組織変革(1) -強い組織をつくる- 2009年12月22日

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松井 恭士
グローバルマネジメント研究所 
ディレクター



「強い組織をつくりたい。組織を強くしたい。」と考えないリーダーはいないでしょう。皆さんも同じことを考えていらっしゃるのではないでしょうか。

強い組織であるための一つの条件は、活発な議論が交わされる高い思考力を持つ人たちの集りであると考えます。一方、最近では、同じ職場内(隣の席から)でもメールでのコミュニケーションで済まされているケースが散見され、職場内での会話の頻度が減少してきています。皆さんの職場でも同じような状況に陥っていないでしょうか。

それでは、このような状態で、強い組織をつくるにはどうすれば良いのでしょうか?
自分が変われば、組織は強くなるのでしょうか?

例えば、今の組織を、活発に議論が交わされる組織に変えようと、自分から積極的に部下や周りの人たちに意見を述べたとします。しかし、部下や周りの人たちが本気で自分の意見に対して何か反応して発言してくれなければ、それは徒労に終わってしまいます。そして、何とか本気になってもらおうと、しつこく繰り返していれば、そのうち周りから煩い奴、面倒臭い奴というレッテルを貼られてしまうかもしれません。(しつこく繰り返すことはリーダーにとって必要なことなのですが・・・。)
つまり、組織を変えようと思っても、自分一人だけが変わるだけでは、組織は変わらないということです。

それでは、どうすれば良いのでしょうか?
そんな時は、自分が前面に立って、模範となり、皆をリードして組織を変えようとするのではなく、自分は裏方に回って、部下や周りの人たちを後押しして組織を変えていくことを考えれば良いのです。

まず、Face to Faceコミュニケーションの頻度を減少させているメールでの遣り取りを必要最小限にしてしまうことです。会話しなければ成り立たない状態を強制的に作ってしまうことが重要です。
例えば、同じ職場内でのメールの遣り取りを禁止してみてはどうでしょうか?私の前職場でも、会話がほとんど見られない状況であったため、部内メンバー間のメールでの遣り取りを禁止しました。その結果、数日後には、部内で議論が交わされるようになり、数ヵ月後にはそれが当たり前の状態へと変わっていきました。

次に、コーチングのスキルを活用し、自分から意見を述べるのではなく、相手から意見を引き出すことを考えます。議論することに慣れていない人たちは、自分から主体的に意見を述べるということはほとんどないと考えたほうが良いでしょう。

「これについてAさんはどう思う? 何でも良いんだけど何か考えはないかな?」や、「相談したいことがあるんだけど。この件で何か良い解決策はない? 思いつくままで構わないから言ってくれないかな?」など、機会ある毎に部下や周りの人たちに意見を聞くようにするのです。そうして、まず相手から意見を引き出すのです。そして、相手が何か意見を述べてくれたなら、それに対する自分の意見を述べます。その時に必要なことが、相手を認め(存在承認)、相手の意見を頭から否定しないことです。相談され、自分の意見が相手の意見を否定するものでなければ、自分の意見が話題になるのは誰も悪い気にはならないため、その後の話に相手も積極的に参加してくれるでしょう。

また、議論を進めていく時にも、拡大質問の「なにを?(What)」、「なぜ?(Why)」、「どのように?(How)」を多用し、相手の意見や考えを引き出すようにします。しかし、質問攻めにしてしまわないように注意しなければなりません。このようなことを数ヵ月繰り返せば、その結果、相手もそういう遣り取りに慣れてきて、今度は自分の方から先に意見を述べたとしても、相手は本気で意見を言ってくれるはずです。

これで、お互いに意見を出し合おうとする環境が出来てきます。後は時間の経過と共に、活発な議論が交わされる高い思考力を持つ人たちで構成される強い組織へと変わっていきます。

ご承知の通り、意見や考えというものは、自分一人で抱え込んでいるよりも、自分が知らない知識や情報、自分とは異なるモノの見方・考え方によって揉まれた方が、その完成度は高くなります。
従って、多様な考え方で議論が活発に行われている組織から、良い意見や考えが多く生み出され、良い成果へと結びついていくのは言うまでもありません。

また、意見や考えをいくら頭で考えていても、口に出さなければ存在しないのと同じです。多くの人が自分の意見や考えを発言できる機会を得られるということは、組織内にある意見や考えの絶対数が増えていくということでもあり、また、その議論に参加した人たちの成長も期待できます。

つまり、強い組織は、意見や考えの「質」も「量」も、意見をお互いに交わさない組織と比較すると格段に勝っているといっても過言ではないでしょう。また同時に、お互いが意見を出し合う中で、「情報共有」が行われているので、このことにも大きな意味があります。

強い組織をつくるためには、Face to Faceでのコミュニケーションにより議論することが何より大切です。電子メールの登場により、議論する機会が減少し、結果として、組織内の意見や考えの「量」が減少しているかも知れません。まずは「量」を増やすことが必要です。

皆さんの職場ではお互いに意見し合える環境が出来ていますか?
そして、建設的な議論が交わされていますか?
また、皆さんは活発な議論ができるようにリードされていますか?


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