“日本”を武器にせず高品質の訴求はできる!値引き販売なしの鞄「Why」が中国で人気の理由――石原敏行・上海壽東包袋有限公司総経理

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江口 征男
智摩莱商務諮詢(上海) 有限公司 (GML上海)
総経理


中国人女性に人気の日系バックブランド「Why」。しかし、Whyを日系バッグブランドと認識している中国人女性は少ない。近年、中国人消費者は、品質の良さを見抜く目を持ち始めている。したがって消費財ブランドにとって、日本製であることは有利に働く。ところが、Whyは日本ブランドであることを前面に出さずに品質の高さをアピールすることに成功し、値引き販売をしないで着実に販売数を伸ばしている。日系企業にとっての、中国での消費財商売のセオリーをことごとく覆す、Whyの戦略に迫った。

かたくなに守る「値引き販売なし」百貨店バイヤーからも一目置かれる

――Whyは百貨店に多く出店されていると思います。中国の百貨店では売上を上げるために、セール値引きなどを強制することも多いと聞きますが、それでもセール販売はしないのですか?

Whyを愛用していただいているお客様の信用を裏切らないためにも、「定番商品は値引きしない」というポリシーをかたくなに守っています。百貨店のセール期間でも値引きはしません。出店する段階で「定番商品は値引きしない」という条件で入店していますので、それを尊重していただいています。ただし、シーズン商品の一部を値引きするなど、弊社でもご協力できるところはさせていただいています。

――知り合いの百貨店バイヤーから「Whyは拘りの強い部分はあるけど、それ以外の部分ではかなり融通を聞いてくれるので、お取引しやすい」という話を聞いたことがあります。

特に中国では、拘る部分は徹底的に拘る代わりに、譲るところは譲らないと商売になりませんから(笑)。拘りの押しつけだけでは相手にしてもらえませんし、逆に拘りを捨てて全面的に迎合してしまうと、競合商品と差別化できなくなってしまうと思います。

――値引きをしない方針だと、どうしても在庫が増えてしまうと思うのですが……。

売れ行きが思わしくない商品を捌くチャネルをいくつかもっています。

 1つが、最近中国でも増えているアウトレットモールです。現在、成都、寧波、南京など5ヵ所のアウトレットモールに出店しています。アウトレットモールには定番商品は置かずに、新作商品の在庫を割引で販売しています。

 2つ目が天猫商城Tmall。Tmallに店鋪をオープンして3年目ですが、新作中心の品揃えで30万元/月程度、安定して売れるようになってきました。

――御社はバックのお手入れフェアを開催していると聞きました。それはどういうイベントですか?

お客様が過去に購入した愛用のWhy商品を、店頭にお持ちいただき、無料で磨き上げ、リフレッシュさせるイベントです。自社工場の職人も連れて行き、その場でお直しも無料でさせていただきます。実際に、10年前に買っていただいたバックが、見違えるように蘇るのです。

 2011年に中国6都市ではじめたこのイベントも、2012年は8都市、2013年は13都市と拡大しています。お手入れフェアでは、3日間で1000人のお客様にご来店いただき、100万元以上の売上が上がります。

 また、このお手入れフェアは、弊社の職人にとってもメリットがあります。実際にお客様に10年使っていただいた商品を直接見ることで、長く愛用していただけるバックをお客様にお届けする為に、商品開発に活かすべきポイントが分かるからです。

「日本生まれ、中国育ち」反日運動でも被害なし

――Whyのお客様の中には熱烈なファンが多そうですね。会員制度はありますか?

VIP会員制度があり1万人ほど会員がいます。年間購入額3万元以上のブラック会員、1万元以上のゴールド会員、2000元以上(2年目以降は1000元)のシルバー会員の3種類の会員ランクがあり、それぞれ割引や誕生日の特典があります。特に50名ほどいるブラック会員の皆様には、毎年市販しない限定バックをプレゼントしています。この限定バックをもらえることが、VIP会員の中の憧れになっているようです。

――中国では全120店鋪を、「全て直営」で展開されているようですね。

中国40都市120店鋪の他、台湾、香港にも全て直営で出店しています。中国では100万元/月程度売る店鋪もあります。上海に進出当初は、代理店に店鋪展開をしてもらっていたのですが、店鋪運営を他人任せにすると、Whyブランドの世界観を維持できないと創業者が判断し、これまで直営展開に拘ってきました。

 ただし今後中国での中間層の拡大にあわせて、内陸等遠隔地域にも積極的に店鋪を拡大していくことを考えると代理店、FCでの店鋪展開も選択肢の1つにはなってくると思います。ただし、Whyが拘る接客、価格政策、什器などブランドイメージを完全に理解してくれる代理店、FCが存在することが絶対条件です。

――最近は定番商品以外にも、ファッショントレンドを取り入れたバックの販売も増やしているようですね。

 25~35歳の女性ホワイトカラー向けのトレンド商品も増やしています。現時点では、全商品ラインの20%くらいが、月次で企画する流行商品です。月単位で最新トレンドを取り入れたバックを企画してすぐに店頭に出せるのも、我々が自社工場を持っているからこそだと思います。流行商品は週次で売れ筋を把握し、追加発注する体制を取っています。

――そもそもWhyは、中国人のお客様から「日系ブランド」だと思われているのでしょうか。

Whyを日系ブランドだと考えていない人は多いと思います。昨年の後半に反日運動があった際も、弊社の店鋪は特に被害はありませんでした。我々も中国では「Why は、日本生まれの中国育ちのブランド」と認識してもらえればと思っています。

――今後の中国での事業展開を教えてください。

今後は、中国での中間層の拡大に合わせて内陸等遠隔地域に積極的に出店していく予定です。また中国でこれまで培ってきた顧客基盤、販売チャネル、ノウハウを活かして、オリジナルブランドを増やしていきたいと思います。

2013年7月23日
Diamond online掲載


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